瘻孔の同定に難渋した結腸腟瘻に対し腹腔鏡下手術を行った1例

書誌事項

タイトル別名
  • A case of sigmoid-vaginal fistula treated by laparoscopic surgery
  • 症例報告 瘻孔の同定に難渋した結腸腟瘻に対し腹腔鏡下手術を行った1例
  • ショウレイ ホウコク ロウコウ ノ ドウテイ ニ ナンジュウ シタ ケッチョウチツロウ ニ タイシ フククウキョウ シタテジュツ オ オコナッタ 1レイ

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抄録

<p>大腸憩室炎による結腸腟瘻は本邦ではまれであり,治療報告例は少ない.今回われわれは,S状結腸憩室炎による結腸腟瘻に対して腹腔鏡下手術により根治手術を施行したため報告する.症例は53歳,4妊1産(帝王切開),中期中絶を含む3回の人工妊娠中絶歴がある.高度肥満,糖尿病,高血圧を合併しており,約2年前に保存的に治癒したS状結腸憩室炎の既往がある.1年前から続く便状帯下を主訴に近医より当科紹介となった.腟鏡診で腟内に便汁を認めたが瘻孔は同定できなかった.注腸造影検査でS状結腸多発憩室および腟壁への穿通像を認め,瘻孔の存在が示唆された.透視下の下部消化管内視鏡検査で瘻孔部にインジゴカルミンを注入し腟鏡診を行ったところ,腟円蓋付近からインジゴカルミンの漏出を認めたが,肉眼的に瘻孔を同定することはできなかった.以上の経過より,S状結腸腟瘻の診断で消化器外科と合同で腹腔鏡下子宮全摘術,S状結腸切除術を施行した.術中所見では,S状結腸とダグラス窩腹壁との間に強固な癒着を認め,同部位を剥離すると少量の膿汁排出とともに瘻孔が確認された.術後経過は良好で術後8日目に退院となった.結腸腟瘻の原因として分娩時の損傷,子宮全摘術などの手術既往,放射線治療後などが報告されているが,今回の症例では,糖尿病を背景としたS状結腸憩室炎による慢性腹膜炎の波及が腟穿孔を生じ,瘻孔形成に至ったと考えられた.術前に瘻孔部位が特定できなかったことや癒着が高度であったことから手術は容易ではなかったが,腹腔鏡下に根治術を行うことができた.〔産婦の進歩72(1):40-45,2020(令和2年2月)〕</p>

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