ストレス性体温上昇の神経機序

• 中村 和弘

  名古屋大学大学院医学系研究科統合生理学分野

書誌事項

タイトル別名

• Neural Mechanism of Psychological Stress-induced Hyperthermia : Comparison with Inflammation-induced Fever
• ストレス性体温上昇の神経機序 : 感染性発熱との比較から
• ストレスセイ タイオン ジョウショウ ノ シンケイ キジョ : カンセンセイ ハツネツ ト ノ ヒカク カラ
• —感染性発熱との比較から—

抄録

心理ストレスは脳の交感神経調節系に作用してさまざまな生理反応を生じさせる. 体温の上昇は顕著な生理反応の1つであり, 強い心理ストレスが心因性発熱と呼ばれる高体温症状を引き起こすこともある. こうしたストレス反応は基本的な生理反応だが, その中枢神経機序は研究途上である. ストレス性体温上昇とよく似た体温上昇である感染性発熱の神経回路機序と比較すると, どちらも視床下部背内側部から吻側延髄縫線核を介した交感神経駆動経路を通じて褐色脂肪熱産生が亢進することで生じる. しかし, 視床下部背内側部を興奮させる仕組みがストレス性体温上昇と感染性発熱とでは異なる. 感染性発熱は, 視索前野でのプロスタグランジンE₂作用を介した神経伝達変化が視床下部背内側部を興奮させることで惹起される一方, ストレス性体温上昇は, 皮質辺縁系から視床下部背内側部へのストレス信号入力によって視床下部背内側部ニューロンが興奮することで惹起される.

収録刊行物

• 心身医学

  心身医学 60 (3), 203-209, 2020

  一般社団法人 日本心身医学会

キーワード

• 心理ストレス
• 心因性発熱
• 褐色脂肪組織
• 体温
• 交感神経系

詳細情報

• CRID: 1390283659867943040
• NII論文ID: 130007825437
• NII書誌ID: AN00121636
• DOI: 10.15064/jjpm.60.3_203
• ISSN: 21895996
• ISSN: 03850307
• NDL書誌ID: 030333006
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I030333006
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • CiNii Articles
  • KAKEN
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可