予防/治療ができる小児の難聴とウイルス感染―現状と課題―

  • 岡田 賢司
    福岡看護大学基礎・基礎看護部門基礎・専門基礎分野 福岡歯科大学医科歯科総合病院予防接種センター

抄録

<p> 小児の難聴の中で, 遺伝性以外の要因で多いのが感染症による難聴だと考えられている. ワクチンで防げる感染症として, TORCH 症候群の中から風疹, サイトメガロウイルス (CMV) 感染症, および出生後の感染症として, おたふくかぜを取りあげた.</p><p></p><p> 各感染症の疫学情報をまとめた. 風疹の流行は収まっていないし, 先天性風しん症候群の報告も2019年8月までに3例報告されている. おたふくかぜの流行周期も続いていて, 数年後には再び流行が懸念される. 国内での先天性 CMV 感染症は, 濾紙尿検体でのスクリーニングでは全出生児の0.3%と報告されている.</p><p></p><p> 風しんワクチンの目的は, 先天性風しん症候群の児をゼロにすること. これまでの国の施策をふりかえり, 2019年4月からの風しんの追加的対策 (第5期定期接種) の現状を紹介した. おたふくかぜワクチンに関しては, 定期接種化へ求められているのがワクチン接種後の無菌性髄膜炎の頻度である. 最近の頻度は従来の頻度より低下している報告を紹介した. 先天性 CMV 感染症を予防するワクチンは実用化されていないが, 最近の先天性 CMV 感染症診療における進歩をまとめた. 抗ウイルス薬治療で難聴の予後の改善が期待できるようになった. ただ, 現行の新生児聴覚スクリーニングの方法では, 適切な診断および治療ができない課題も指摘した.</p>

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