筋硬直の寛解後も開口障害と嚥下障害が残存した破傷風患者へのリハビリテーション介入

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  • Dysphagia Rehabilitation for a Tetanus Patient with Sustained Mandibular Trismus and Dysphagia after the Remission of the Spasmodic Contraction

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抄録

<p>【緒言】主症状である筋硬直の寛解後も後遺障害として開口障害,嚥下障害が残存した破傷風患者を経験したので報告する.</p><p>【症例】69 歳男性.開口障害,嚥下困難感より発症.精査・治療目的で当院入院となった.</p><p>【臨床経過】入院2 日目より抗破傷風ヒト免疫グロブリン,メトロニダゾール,ペニシリンG 投与を開始.同日施行された嚥下造影検査(以下VF)では,病態として嚥下運動不全型誤嚥を認めた.3 日目に,気管切開術を施行.12 日目より,STによるリハビリテーションを開始.初期評価時は,触診にて胸鎖乳突筋,側頭筋,咬筋および舌骨上筋群の筋緊張亢進を認めた.ST は,自動運動による開口訓練,頸部のストレッチ,のどのアイスマッサージより開始した.31 日目に筋緊張は寛解したが,開口障害と嚥下障害は残存しており,VF では多量の咽頭残留を認めた.32 日目に,ゼリーを用いた直接的嚥下訓練を開始.訓練プログラムとしては,喉頭挙上制限,咽頭収縮不全,食道入口部の開大不全に対して舌突出嚥下,メンデルソン手技,頸部筋力増強訓練を追加した.49 日目には,常食の摂取が可能となった.50 日目には,開口障害も改善し,52 日目に自宅退院となった.</p><p>【まとめ】破傷風患者に対して,発症後早期よりST を実施した.筋緊張亢進を認める時期より積極的に介入し,症状,所見の変化に応じた訓練を実施し,早期より機能低下を防止するよう働きかけを行ったことで,誤嚥性肺炎等の合併症や主症状寛解後の後遺症の重篤化を防ぎ,比較的早期に自宅退院に結び付けることができたと考えた.</p>

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