梅毒感染妊娠で異なる転帰に至った3例

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タイトル別名
  • Syphilis during pregnancy presenting with different outcomes: case series
  • 症例報告 梅毒感染妊娠で異なる転帰に至った3例
  • ショウレイ ホウコク バイドク カンセン ニンシン デ コトナル テンキ ニ イタッタ 3レイ

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抄録

<p>梅毒は梅毒トレポネーマによって起こる性感染症である.妊婦が感染すると経胎盤感染により流産や死産,児の異常を引き起こす可能性がある. 今回,梅毒感染妊娠で異なる転帰に至った3例を経験したので報告する. 症例1)41歳,初産婦. 妊娠8週で当院に紹介され,妊娠初期検査から梅毒感染と診断され,amoxicillin(AMPC)による治療が行われた. 妊娠経過に問題はなく,妊娠38週に骨盤位に対する選択的帝王切開術が施行され,男児を出産した. 児に先天梅毒の所見はなかった. 症例2)22歳,初産婦. 性産業従事者. 前医で子宮内胎児死亡と診断とされ,当院に紹介された. 正確な妊娠週数は不明であった. 来院時,顔面に環状紅斑,外陰部にコンジローマ様丘疹を多数認め,梅毒血清反応陽性であった. 分娩誘発し,299gの男児を死産した. 胎児,胎盤のぬぐい液より梅毒反応陽性であり,梅毒感染による死産が疑われた. 症例3)28歳,初産婦. 自然妊娠成立し,初期検査で梅毒反応は陰性であった.妊娠36週に胎児大腿骨長の短縮と羊水過多のため当院に紹介され,翌日2204gの女児を自然経腟分娩した. 児は精査により先天梅毒と診断され,母体の梅毒罹患も判明し,妊娠中の感染と考えられた. 梅毒感染妊娠は,速やかに発見し治療すれば,妊娠経過および胎児の予後は良好である. 初期のスクリーニングを受けるために未受診妊婦をなくす啓蒙活動はもちろん必要だが,妊婦健診中に臨床症状,胎児エコー所見からも積極的に梅毒を疑うことが重要であると考える. 〔産婦の進歩72(2):96-101,2020(令和2年5月)〕</p>

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