2根管性下顎小臼歯を有する日本人にCBCTと手術用顕微鏡を用いて根管治療を行った1症例

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  • Root Canal Treatment of a Mandibular Premolar with Two Root Canals in a Japanese Patient Using Cone-beam Computed Tomography and Surgical Microscopes

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抄録

<p> 緒言 : 2つ以上の根尖孔を有する下顎第一小臼歯は, 20%程度の発現率が報告されており, 臨床において遭遇することも多いがその対応と治療は難しい. 今回われわれはCBCTと手術用顕微鏡を用いて根管治療を行った1症例を報告する.</p><p> 症例 : 患者は, 49歳の女性. 前医にて下顎左側第一小臼歯の根管治療を行っていたが, 症状改善しないため東京歯科大学保存科に紹介され受診した. 臨床症状は根尖部圧痛およびデンタルエックス線写真で根尖部を取り囲む透過像を認めた. また, CBCT上で舌側にも根管が存在することを確認した. 慢性化膿性根尖性歯周炎と診断し, 感染根管治療を行うこととした. 事前に口頭と書面で研究目的と内容を説明して, 十分な理解を得たうえで参加の同意を得た (東京歯科大学倫理審査委員会 承認番号924). ラバーダム防湿下で根管治療を開始し, 事前にCBCTで位置を測定した根管開口部付近の舌側壁を探索して, 根管開口部を発見した. 根管口部のフレアー拡大後に, ネゴシエーションを行い, グライドパスを付与し, シングルレングス法でNi-Tiロータリーファイルを用いて根管形成を行った. 根管を最終洗浄後に, CWCT法にて根管充塡を行った. 直接法にて支台築造し, テンポラリークラウンを調整して仮着した.</p><p> 経過 : 根管充塡後1年で, 臨床症状は認められず, デンタルエックス線写真で根尖部透過像は消失しており治癒と診断した.</p><p> 考察 : 下顎小臼歯の舌側根管は鋭角か垂直に存在することが多く, 手術用顕微鏡下でも発見することは困難である. しかし術前にCBCTで確認し, 根管の分岐位置を測定したうえでの, 手術用顕微鏡を用いた治療は非常に有用であると考えられる.</p><p> 結論 : 本症例ではCBCTを用いて事前に根管形態を把握し, 手術用顕微鏡下にて目視で根管探索し施術することで, 予知性をもった治療を行うことができ, 良好な治癒が得られた.</p>

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