ICH S5対照物質を用いたゼブラフィッシュ胚発生毒性試験―胚中濃度測定による偽陰性判定の原因調査―

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  • Zebrafish embryo developmental toxicity test using ICH S5 reference compounds-Investigation of the cause of false negative judgment by measuring the concentration in the embryo-

抄録

<p> 【背景・目的】近年、医薬品規制調和国際会議(ICH)の生殖・発生毒性試験ガイドライン(S5)の改訂により、胚・胎児の発生に及ぼす影響を評価する試験(EFD試験)の代替法が利用可能となることから、EFD試験代替法の開発が活発化している。その中で、ゼブラフィッシュ(ZF)胚を用いる試験系は欧州で非動物試験と定義され、動物愛護の点で有利であり、さらにin vivo系として生体内の薬物動態が考慮可能であるという利点からも注目されている。我々は昨年の本会において、ICH S5対照物質を用いたZF胚試験の検証結果を報告したが、陽性対照の28物質のうち8物質が偽陰性と判定された。この原因として、ZF胚の卵膜における選択的透過性等により、胚への取り込みが制限された可能性が考えられた。しかし、これらの物質のZF胚中濃度を実際に測定した報告例は無い。そこで本研究では、上述の偽陰性となった物質のZF胚中濃度を測定し、偽陰性となった原因を調査することを目的とした。</p><p>【実験方法】ICH S5の陽性対照物質のうち、偽陰性となった3物質[サリドマイド(THA)、フェニトイン(PHE)及びシタラビン(CYT)]の水溶液を溶解度または試験上限濃度(10 mM)となるよう調製し、ZF(NIES-R系統)の受精卵を28±1℃で受精後5時間(5 hpf)~5日までばく露し、適宜胚を取上げ、各時点における胚中濃度を液体クロマトグラフィーにより測定した。</p><p>【結果・考察】THA及びPHEの胚中濃度は48 hpfまでに水溶液濃度と同等あるいはそれ以上の胚中濃度であった。一方、CYTの48 hpfにおける胚中濃度は水溶液濃度の約1/300程度であったことから、log Pが極めて低いCYT(log P=-2.7)については、胚への取り込みの制限が偽陰性の原因である可能性が考えられた。本発表では、他の偽陰性となった物質の結果も併せて報告する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390004222615041664
  • NII論文ID
    130007898507
  • DOI
    10.14869/toxpt.47.1.0_p-91e
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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