うつ病のrTMS療法における神経回路特異性

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  • 中村 元昭
    昭和大学発達障害医療研究所 神奈川県立精神医療センター

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タイトル別名
  • Neural circuit specificity of rTMS therapy for major depression

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抄録

2017年,わが国でもrTMS療法がうつ病治療として承認されたが,その効果には個人差が大きく,最適な刺激法は確立されていない。うつ病rTMSに関する脳指標が研究されており,rTMSの効果を予測する指標,rTMSをガイドする指標,rTMSの介入効果を測る指標などが区別される。安静時fMRIを用いた機能結合やバイオタイプ,そして脳波成分のパワーやカップリングは,神経回路のダイナミクスを推定するうえで有用であり,rTMS脳指標の有力候補である。特に前帯状回梁下野を含む神経回路は重要であり,背外側前頭皮質やデフォルトモードネットワークとの関係性がうつ病rTMSにとって重要な脳指標と認識されている。安静時脳波ではガンマパワーやシータガンマ・カップリングが刺激部位周辺で増強し,睡眠脳波では徐波の局在的なパワー増強が報告されている。rTMSは刺激部位のみならず,刺激部位を含む神経回路に影響することが重要であり,神経回路の脳指標はrTMSを最適化,個別化する可能性がある。

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