伊豆諸島八丈小島におけるノヤギ駆除後の島嶼生態系回復状況と復元に向けた基礎調査 ―伊豆諸島自然史研究会―
書誌事項
- タイトル別名
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- Field survey toward island ecosystem recovery after the extermination of goats on Hachijo-kojima Island ―Natural History Research Association of the Izu Islands―
抄録
<p>八丈小島は外来種であるイタチや野ネコがいない島として,典型的な伊豆諸島の食物連鎖系が残された唯一の島である.しかし昭和44年全島民が離島の際に残されたノヤギが増加し植生被害が顕在化したため,本研究会がノヤギの駆除を提言し,東京都と八丈町が2001年-2007年に計1137頭のノヤギを駆除した.その後,植生は回復していったが,駆除後の生態学的調査は行われてなかった.そこで,この貴重な八丈小島を保全し活用に資するために2018年より調査を実施し,2019年には陸産貝類,昆虫類を追加して実施した.</p><p>植物においては,希少種であるハチジョウツレサギ,カキラン,オオシマシュスランが駆除後はじめて確認され,爬虫類では準固有種であるオカダトカゲが他の島と比較してより高密度で生息していることが確認され,形態や行動に他の伊豆諸島と異なる特徴が見られた.鳥類では2013年には準絶滅危惧種のクロアシアホウドリが飛来し,2016年-2017年には2個体,2017-2018年には7個体,2018年-2019年26個体が巣立ち,同種の繁殖北限地の繁殖成功率も向上した.イイジマムシクイやアカコッコ,ウチヤマセンニュウなどの希少種が観察されたほか,準絶滅危惧種のカラスバトも高密度で生息していることが確認され,本島が伊豆諸島において貴重な生態系を有することが示唆された.陸産貝類と昆虫類については,調査を始めたばかりであり十分な結果は得られていないが,陸産貝類では,外来種の多い八丈本島に比べ在来種が多いことが確認された.</p><p>以上のように,八丈小島が伊豆諸島において貴重な生態系を有することが示唆されたと同時に,今後の継続的なモニタリングの必要性が示唆された.</p>
収録刊行物
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- 自然保護助成基金助成成果報告書
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自然保護助成基金助成成果報告書 29 (0), 94-102, 2020
公益財団法人 自然保護助成基金
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390285697605690368
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- NII論文ID
- 130007919059
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- ISSN
- 21897727
- 24320943
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可