施設入所要介護高齢者における身体活動の動機の違いが 脈波伝搬速度の悪化に及ぼす影響

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  • Effect of the Difference in the Motivation of Physical Activity on the Deterioration of Pulse Wave Velocity in the Elderly People who Need Nursing Care at the Facility

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抄録

背景:我々は、施設入所要介護高齢者におけるウェアラブルカメラを用いた観察により、身体活動の動機の違いが身体活動量の多寡に及ぼすことを報告した。身体不活動はこれまで脈波伝搬速度の悪化を促進することが知られている。身体活動の促進は動機を評価し、環境設定も含めたアプローチが必要とされるが、実際、健康関連指標である脈波伝播速度への影響が及ぶ程度は不明である。 目的:施設入所生活における身体活動を伴う行動の理由の違いが身体活動量の多寡に及ぼす脈波伝搬速度の悪化に及ぼす影響を明らかにすることであった。 対象と方法:対象は要介護老人保健施設で生活する脳血管障害の既往がある8 名、認知症の診断があるもの 3名であった。男性 2 名、女性 9 名の計 11名、男性平均84 歳、女性 90 歳であった。方法は、対象者の 24 時間の行動の理由について、胸部据え置き型定時画像撮影装置(recolo IR7;キングジム) と IC レコーダー(ICD-PX440;SONY)を用いて行動記録、逐次聞き取りを行い、各個人の身体活動の動機を分類し、生理的要求に基づく活動、非生理的要求に基づく活動の別に分け、その合計時間の中央値で2群に分けたものと脈波伝搬速度の悪化に及ぼす影響を対応のないt検定にて評価した。 結果:身体活動の動機を類型化した活動群において、本人の非生理的欲求に基づく活動の合計時間の多寡による身体活動量は、非生理的欲求に基づく活動の合計時間が 198.5 分より多い群と 198.5 分以下の群について、身体活動量が有意な平均値の差を示した。 結語:非生理的欲求に基づく活動の多寡は、身体活動量の多寡に有意な影響を示した。非生理的欲求に基づく活動の利活用が身体不活動性の症候群の予防にとって有効な方法になることが期待される。

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