体表からの超音波検査により診断した胸壁穿孔性膿胸の1例

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タイトル別名
  • A case of empyema necessitatis successfully diagnosed with ultrasonography from the body surface

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抄録

<p>超音波診断による胸腔内の液体成分の検出能は非常に高く,X線では指摘できないような極めて少量の胸水でも描出可能である.これまで膿胸を含め,胸水の診断に超音波検査が有用であることは多数報告されてきた.しかし胸壁膿瘍における超音波所見についてはほとんど報告がない.このたび,体表からの超音波検査が胸壁穿孔性膿胸の診断に有用であった1例を経験したので報告する.症例は69歳男性,胃癌,肺癌の術後経過中に右前胸部に腫瘤が出現した.胸部CTで肺癌の再発(癌性胸膜炎,皮下浸潤疑い)と診断され紹介入院した.超音波検査では,無数の点状エコーを有する胸水や胸壁内の楕円形の低エコー病変を認めた.壁側胸膜の一部が破綻し,胸腔と胸壁の低エコー病変の間に瘻孔を認めた.胸水が胸腔と胸壁の間を行き来する流動像を認め,膿胸の胸壁への穿破が疑われた.胸腔穿刺により膿胸と診断し,胸腔ドレナージの結果,胸壁腫瘤もほぼ消失した.超音波検査はリアルタイムでの観察が可能であり,胸壁穿孔性膿胸の診断にも有用である可能性が示された.</p>

収録刊行物

  • 超音波医学

    超音波医学 47 (6), 249-253, 2020

    公益社団法人 日本超音波医学会

参考文献 (1)*注記

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