ニューキノロン系抗菌薬に起因した手指伸筋腱障害の1例

抄録

<p>ニューキノロン系抗菌薬の副作用として腱障害が挙げられる.諸家によりニューキノロン系抗菌薬によるアキレス腱障害の報告はされているが,ニューキノロン系抗菌薬が誘因と考えられる手指伸筋腱障害の1例を経験したので報告する.症例は65歳男性.前医で皮膚感染症に対して,ニューキノロン系抗菌薬を投与され,感染兆候は改善傾向にあったが,その後,非外傷性に左示指,中指,環指の伸展障害が出現した.原因薬剤中止後1週間で示指は症状改善を認めた.半年経過し,中指,環指は伸展障害軽度残存するが,日常生活に支障は出ておらず,保存的に経過観察中である.薬剤性の腱障害は,薬剤への初回暴露より数日から数カ月以内に起こることがあり,薬剤を中止した後でも発症する可能性がある.非外傷性腱障害の症例でキノロン系抗菌薬の服薬歴がある場合,薬剤性腱障害の可能性も念頭に置きながら診療にあたることが重要である.</p>

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