色素性絨毛結節性滑膜炎と特発性膝関節血症の鑑別が困難であった1例

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抄録

<p>症例は83歳女性.繰り返す左膝関節内血腫で色素性絨毛結節性滑膜炎(pigmented villonodular synovitis:以下PVS)を疑われ当院紹介となった.単純X線検査にて外側大腿脛骨関節および膝蓋大腿関節の関節症性変化と大腿骨外側顆,膝蓋骨に骨嚢腫様病変を認めた.MRIでは顆間前方や大腿骨外側顆周囲にT1およびT2強調像で低信号を呈する腫瘤性病変,外側半月板断裂を認めた.大腿骨外側顆,膝蓋骨の骨嚢腫様病変はPVSで認められる典型的な骨破壊病変とは異なっていた.以上より特発性膝関節血症を考え滑膜切除,骨病変の掻爬および人工骨移植,外側半月板切除を行った.関節内には血腫とヘモジデリン沈着を伴う滑膜増生を認めたが,病理所見では組織球様単核細胞の増生は乏しかった.以上より慢性血腫貯留に伴う慢性滑膜炎が考えられた.本症例はPVSと特発性膝関節血症の両方の特徴を持ち鑑別が困難であった.</p>

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