新科目「地理総合」をいかに実践するか−地図・GIS を活用して−

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タイトル別名
  • How to Learn Geography as Compulsory Subject of High School with Maps/GIS

抄録

<p>1.本公開シンポジウムの趣旨</p><p></p><p> 高等学校では、2018年告示の学習指導要領が2022年から学年進行で実施される。この学習指導要領により、地理は「地理総合」として必履修化される。高等学校での地理の履修者が少ないことによる弊害を指摘し、地理の必履修化を主張してきた関係者にとっては、今回の学習指導要領は歓迎すべき改訂となった。</p><p></p><p> 他方で、全ての高校で地理を専門とする教員が配置されているわけではないので、地理を専門としない教員が「地理総合」を担当することも多くなる。そこで、課題となるのが、地理を専攻していない教員がなじみの薄い地図やGISについての指導法である。地理教育専門委員会では、こうした教員の不安を取り除くために、学習指導要領が告示された2018年の日本地理学会学術大会から、「地理総合」に関する公開講座を開催してきた。公開講座では、地図やGISだけでなく、「地理総合」の設立の背景、趣旨をはじめ、「地理総合」全体にかかわる普及に努めてきた。多くの方に毎回きていただき、高校の教員だけでなく、大学の教員なども参加していただき、参加していただいた方には、「地理総合」の理解を深めていただいたと自負している。さらには、高等学校をはじめとするGIS公開講座も開かれるようなった。</p><p></p><p>こうして、「地理総合」の周知を学会としておこなってきたが、今回はコロナウイルス感染に関する影響で、学術大会では公開講座という枠はなくなり、シンポジウムという枠で、従来の公開講座を引き継ぐことになった。加えて、公開講座として開催していたGIS講座をも含む形で、今回のシンポジウムとした。</p><p></p><p> </p><p></p><p>2.今回のシンポジウムの特徴</p><p></p><p> 今回のシンポジウムは、従来行っていた地理教育専門委員会主催の「地理総合」に関する公開講座とGIS講座の共同企画としての公開シンポジウムとなる。また、学術大会でのオンラインによる開催は初めての試みとなるが、地理教育専門委員会としては、オンラインでのシンポジウム形式の交流会は、2020年5月16日(土)に、日本地理教育学会と実施経験がある。そのタイトルは「withコロナ、postコロ ナにおける地理教育のあり方オンライン交流会」とし、5人の発表者と、その後参加者が4から5人のグループとなってもらい、近況報告や発表者の提案などについて意見交換をしてもらった。参加申し込み者は145名であり、全員参加型の交流会となった。本シンポジウムも、この実績を踏まえて、参加者が登壇者の提案を聞くだけでなく、実際にGIS機能を使うなどの全員参加型のシンポジウムをめざしている。</p><p></p><p> また、内容としては、授業実践の紹介、地図・GIS学習システムの開発とその利用、そして、それを受けての課題という流れで進む。今回のシンポジウムで着目するような、教員に関する研修、特に「地理総合」を担当する地理専攻以外の教員に地図・GISの指導法を習得してもらい、子どもたちに地理を学ぶ意味、地理の有用性、地理の楽しさをどのように実感してもらうのかは、今後も検討していかなくてはならない課題である。さらにこの課題は、地理を専攻し「地理総合」を担当する教員の課題でもある。</p><p></p><p> </p><p></p><p>3.まとめ</p><p></p><p>地図・GISの活用については、選択科目である「地理探究」ともつながっている。「地理探究」では、地図・GISの活用といった技能に関する大項目は特に設けられていない。それは「地理総合」で学ばれているからにほかならない。「地理総合」における地図・GISの活用は、「地理探究」をも含めた高等学校地理の基盤となる技能を習得する重要な位置づけにある。さらに言えば、高等学校を卒業した後も、地理に関する生涯学習の基盤ともいえる内容である。今回のシンポジウムでは、方法論としての新規性とともに、地図・GISの活用が、高等学校地理の基盤、生涯学習の基盤としての重要性となることについて考えていきたい。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390004951543475328
  • NII論文ID
    130007949076
  • DOI
    10.14866/ajg.2020a.0_119
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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