舌がん発症の誘因となる慢性機械刺激を軽減させる補綴装置の作製

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タイトル別名
  • Development of prosthetic devices for reduction of mechanical irritation that induces tongue cancers

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抄録

舌縁部は舌がんの好発部位であり,がん発症の誘因として不適合な補綴装置,歯の傾斜などの歯列不正による慢性的な機械刺激があげられる。また歯列不正がない場合でも,歯列弓と舌の大きさの不調和により,舌縁部へ持続的な刺激が加わることも舌がん発症の誘因となりうる。歯列不正や舌房が狭いことで口腔粘膜への機械刺激が持続する患者には,矯正歯科治療は有効と考えられるが,年齢や経済的問題からすべての症例に適応とはならない。今回,舌縁部に発生したがんの一次治療後に,持続する機械刺激が疑われる3症例に対して,刺激軽減を目的とした補綴装置を作製した。本補綴装置を使用することにより,全例ともに局所への刺激が軽減され,再発防止に繋がる可能性が示唆された。本補綴装置の使用は簡易で可逆的であり,機械刺激に対する新しい対処法として有用であると考える。ただし,装置の未使用で容易に症状が再燃することから,十分な患者教育が必要である。

収録刊行物

  • 頭頸部癌

    頭頸部癌 46 (4), 378-384, 2020

    日本頭頸部癌学会

参考文献 (11)*注記

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