腹腔鏡下仙骨腟固定術後の尿失禁の検討

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  • The study of stress urinary incontinence after laparoscopic sacrocolpopexy

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抄録

<p>背景:骨盤臓器脱(Pelvic organ prolapse:POP)に対する腹腔鏡下仙骨腟固定術(Laparoscopic sacrocolpopexy:LSC)は多くのタイプのPOP 症例に対応可能で、再発率の低い有用な手術である。LSC 術後の腹圧性尿失禁が問題であるが、データが不足している。今回我々は、LSC 術後SUI の発生頻度やリスク因子について、当院の臨床データを元に検討した。</p><p>方法:2014 年8 月から2018 年11 月に当院でLSC を施行した258 例を対象とし、年齢、BMI、手術時間、術中出血量、周術期合併症、再発(POP-Q stage2 以上)を検討した。また主要下部尿路症状質問票(Core Lower UrinaryTract Symptom Score : CLSS)のデータが得られた216 例の術前と術後1 ヶ月の腹圧性尿失禁の有無、排尿機能に関する患者満足度(QOL score)を診療録より入手し解析した。術前と術後1 ヶ月の尿流量検査データを追跡できた125 例の初発尿意量、最大尿意量、残尿量、最大尿流率の変化を後方視的に解析した。</p><p>結果:症例の平均年齢は64.3±7.8 歳、BMI27.2±3.2kg/m2、手術時間122.6±43.0 分、出血量53.6±123.3mL であった。POP-Q stage2 以上の再発は24/258 例(8.4%)で再手術症例はなかった。術前にSUI があった症例は121 例(56%)で、de novo SUI は37 例(17%)であった。10 例(4.6%)に二期的な中部尿道スリング手術を施行した。術後SUI に影響する因子について多変量解析し、術前のCLSS 質問 5 のスコアと高血圧の既往に有意差を認めた(p<0.001)。排尿機能に関する患者満足度は術後に有意に改善した(p<0.001)。</p><p>結語:術前後に既往歴・排尿機能の問診や検査を適切に行うことが、術後尿失禁の推測に役立つ可能性がある。</p>

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