てんかん患者の歯科的審美性の問題について

  • 福本 裕
    国立精神・神経医療研究センター病院歯科 国立精神・神経医療研究センターてんかんセンター
  • 渡辺 雅子
    新宿神経クリニック
  • 中川 栄二
    国立精神・神経医療研究センター病院小児神経科 国立精神・神経医療研究センターてんかんセンター

書誌事項

タイトル別名
  • Dental Aesthetic Problems in Patients with Epilepsy

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抄録

<p>歯の色や形態、歯肉の状態、歯並び、顎顔面骨および口唇、頬などの口腔粘膜の形態は、顔貌に影響を与える。そのため、口腔は、発音や摂食嚥下など機能的にはもちろん、審美的にも重要である。てんかん患者の歯科的審美性の問題の発現には、直接的と間接的要因がある。直接的要因は、てんかん発作の頻発や発作による転倒、抗てんかん薬の服用であり、間接的要因は、発作の頻発や合併症により歯科治療が困難になることである。症状としては、硬組織の損傷である歯冠破折、歯の喪失、歯の脱臼に伴う歯の変色や歯列不正、顎骨骨折による顔貌の変化、口腔軟組織の損傷による形態不良、そしてフェニトインによる薬剤性歯肉増殖症などがある。問題の解決には、発作の抑制、抗てんかん薬の副作用への対応、保護帽の着用の指示など予防にあたる医師と、患者の発作の前兆や状態および知的発達症など併存症を把握している歯科医による、継続的かつ緊密な連携が必要である。</p>

収録刊行物

  • てんかん研究

    てんかん研究 38 (3), 197-206, 2021-01-31

    一般社団法人 日本てんかん学会

参考文献 (13)*注記

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