治療に難渋した末期腎不全合併粘液水腫性昏睡高齢者の1例

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タイトル別名
  • A case of elderly myxedema coma patient with end-stage renal failure
  • チリョウ ニ ナンジュウ シタ マッキ ジンフゼン ガッペイ ネンエキ スイシュセイ コンスイ コウレイシャ ノ 1レイ

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抄録

<p>症例:84歳女性.主訴:食欲不振,意識レベル低下.既往歴:末期腎不全,甲状腺機能低下症,2型糖尿病,難聴.現病歴:以前より甲状腺機能低下症を指摘されていたが,服用できていなかった.近医診察にて食欲不振,意識レベル低下を認めた.原因として甲状腺機能検査異常を認め,全身状態が悪く入院加療目的で当院紹介となった.検査所見:JCS 10,TSH 681.7 μIU/mL,fT4 0.40 ng/mL,総CK 170 U/L,pH7.33,Na 124 mEq/L,Cr 3.85 mg/dL,eGFR 9 ml/min/1.73 m2.臨床経過:末期腎不全ではあるが,透析治療は拒否されていた.検査所見より,粘液水腫昏睡と診断し,レボチロキシンNa水和物25 μg経口投与から開始,中心静脈カテーテルにて経静脈栄養を行った.入院約3カ月にて,回復退院となった.考察:粘液水腫昏睡の過去の日本の6例の報告では,高齢者が多い印象であった.レボチロキシンNa水和物25~50 μg内服から開始する症例が多く,治療法について本症例と類似していたが,本症例のような高齢で高度な腎不全を伴う症例は認めなかった.また,ガイドラインのない症例の治療方針決定においては,本人に寄り添い,意思を何度も確認することがより重要と考えた.結論:今回,我々は透析を希望されない末期腎不全高齢者の症例における粘液水腫性昏睡の1例を経験した.治療や経過について,貴重な症例と考え,報告する.</p>

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