静脈脂肪乳剤療法が適応と考えられた急性薬物中毒の1例

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  • A case of acute drug toxicity in a patient indicated for intravenous lipid emulsion therapy

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抄録

<p>【症例】42歳女性。【既往歴】双極性障害。【現病歴】ラモトリギン (100mg) 72錠など合計398錠を自殺目的で服薬し, 救急搬送された。【来院時現症】意識はGCSでE1V1M1, BMIが 33kg/m2と肥満であった。【入院後経過】意識障害が遷延した。第9病日に意識が改善したが, 第12病日に再度意識がGCSでE1V1M1まで低下した。第14病日に意識が清明となり, 第19病日に精神科病院へ転院となった。【考察】意識障害の遷延は薬物の脂肪組織からの再分布によるものと考えられた。これは脂肪組織に脂溶性の高い薬物の分布容積が多くなり, 消失半減期が延長する機序による。静注脂肪乳剤 (ILE) 療法はわが国での使用報告が少なく使用に逡巡するが, 重篤な副作用の報告は少なく, 本症例もILE療法の適応があったと考えられた。【結語】脂溶性の高い薬物の中毒患者には, ILE療法を治療法の一つとして考慮する必要がある。</p>

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