高次脳機能障害で発症した小児大脳型副腎白質ジストロフィーの早期診断のための臨床的検討

  • 川合 裕規
    岐阜大学科学研究基盤センターゲノム研究分野 岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学 岐阜県立希望が丘こども医療福祉センター
  • 久保田 一生
    岐阜大学大学院医学系研究科小児病態学 岐阜大学医学部附属病院ゲノム疾患・遺伝子診療センター
  • 下澤 伸行
    岐阜大学科学研究基盤センターゲノム研究分野 岐阜大学医学部附属病院ゲノム疾患・遺伝子診療センター

書誌事項

タイトル別名
  • A Clinical Study for Early Diagnosis of Childhood Cerebral Adrenoleukodystrophy with Symptoms Similar to Neurodevelopmental Disorders
  • コウジ ノウ キノウ ショウガイ デ ハッショウ シタ ショウニ ダイノウガタ フクジン ハクシツ ジストロフィー ノ ソウキ シンダン ノ タメ ノ リンショウテキ ケントウ

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抄録

小児大脳型副腎白質ジストロフィー(CCALD)は発達障害様の高次脳機能障害をはじめとした多彩な症状で発症する.唯一の治療法は発症早期の造血幹細胞移植のみであり,早期診断が重要である.高次脳機能障害を初発とした5 ~ 7歳のCCALD12症例の診断までの経過を検討した.初発症状として多動性,衝動性,注意欠如,コミュニケーション障害,易怒性といった症状がみられた.高次脳機能障害以外の併発症状として斜視などの眼科的異常が最も多く10例に認め,9例では併発症状のうち最初に出現していた.さらに視覚性注意障害を含めると,後頭葉病変を認めた11例全例で眼科的異常を認めた.発達途上で新たに高次脳機能障害を認めた男児はCCALDも考慮し慎重な鑑別が必要であるが,眼科的異常が特に併発しやすく,発達障害診断およびフォローアップの際には注意すべきである.また,幼稚園・保育園から小学校への発達歴や行動所見のトランジションも重要である.

収録刊行物

  • 小児の精神と神経

    小児の精神と神経 61 (1), 35-41, 2021

    一般社団法人 日本小児精神神経学会

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