医療・介護レセプト連結データを用いた高齢心不全患者の医療介護サービス利用状況の分析

DOI
  • 松田 晋哉
    産業医科大学医学部公衆衛生学教室 産業医科大学産業保健データサイエンスセンター
  • 村松 圭司
    産業医科大学医学部公衆衛生学教室
  • 藤本 賢治
    産業医科大学産業保健データサイエンスセンター
  • 峰 悠子
    産業医科大学医学部公衆衛生学教室
  • 高木 邦彰
    産業医科大学医学部公衆衛生学教室
  • 得津 慶
    産業医科大学医学部公衆衛生学教室
  • 大谷 誠
    産業医科大学情報管理センター
  • 藤野 善久
    産業医科大学産業生態科学研究所環境疫学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of medical care service usage status of elderly cardiac failure patients using medical / long-term care claim linked data

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抄録

<p>【目標】近年、高齢者の心不全による入院が増加している。高齢化の進行とともにこの心不全パンデミックはさらに深刻な問題になると予想されている。こうした患者の多くはすでに複数の慢性疾患を抱える高齢者で、心不全の急性増悪を繰り返しながら、ターミナルの経過をたどるものと推察されるが、これまでその状況は必ずしもデータで明らかにされていない。そこで、本研究では西日本の一自治体の医療レセプト、介護レセプトを用いて、高齢者心不全の現状分析を行い、その対応策を検討することを目的とした。</p><p>【資料及び分析方法】分析に用いたデータは西日本の一自治体の2012年4月から2017年3月までの医科レセプト(国民健康保険・長寿医療制度)と介護給付レセプトである。これらのデータを個人単位で連結したデータベースを作成し、これから心不全(DPC上6桁=050130)でDPC対象病院において治療を受けた65歳以上の患者をレセプトから抽出し、その初回入院年月を治療年月と定義した。これを起点(治療月、経過月=0)としてその前後の医療介護サービス利用状況と傷病の状況を分析した。</p><p>【結果】本分析の結果、心不全で急性期病院に入院した高齢患者は入院の6月前に心不全は32.0%が何らかの介護サービスを受けていた。また、治療後は大半が自宅(外来・在宅)に直接戻っていた。なお、入院後1年間の累積死亡率は17.9%であった。</p><p>【考察】1年間の累積死亡率の高さ及び併存症の種類とそれらの有病率の高さ、及び退院後も心不全の有病率が高いことを考えると、心不全はエンド・オブ・ライフステージにある要介護高齢者の療養生活の質に大きな影響があると考えられる。したがって、当該時期におけるQOLを維持するためにも、心不全の悪化を予防するための対策、具体的にはリスクとなる高血圧等の管理、食生活の管理などをケアマネジメントにしっかりと位置付けることが重要であると考えられた。</p>

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