医療・介護レセプト連結データを用いた高齢肺炎患者の医療介護サービス利用状況の分析

DOI
  • 松田 晋哉
    産業医科大学医学部公衆衛生学教室 産業医科大学産業保健データサイエンスセンター
  • 村松 圭司
    産業医科大学医学部公衆衛生学教室
  • 藤本 賢治
    産業医科大学産業保健データサイエンスセンター
  • 峰 悠子
    産業医科大学医学部公衆衛生学教室
  • 高木 邦彰
    産業医科大学医学部公衆衛生学教室
  • 得津 慶
    産業医科大学医学部公衆衛生学教室
  • 大谷 誠
    産業医科大学情報管理センター
  • 藤野 善久
    産業医科大学産業生態科学研究所環境疫学研究室

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of medical care service usage status of elderly pneumonia patients using medical / long-term care claim linked data

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抄録

<p>【目標】近年、高齢者の肺炎による入院が増加している。特にすでに要介護状態にある高齢者の肺炎の増加に関心が集まっているが、その現状を詳細に分析した研究は少ない。そこで、本研究では西日本の一自治体の医療レセプト、介護レセプトを用いて、高齢者肺炎の現状分析を行い、その対応策を検討することを目的とした。</p><p>【資料及び分析方法】分析に用いたデータは西日本の一自治体の2012年4月から2017年3月までの医科レセプト(国民健康保険・長寿医療制度)と介護給付レセプトである。これらのデータを個人単位で連結したデータベースを作成し、これから高齢者の肺炎(65歳以上でDPC6桁=040080および040081)でDPC対象病院において治療を受けた患者をレセプトから抽出し、その初回入院年月を治療年月と定義した。これを起点(治療月、経過月=0)としてその前後の医療介護サービス利用状況と傷病の状況を分析した。</p><p>【結果】本分析の結果、肺炎で急性期病院に入院した高齢患者は入院の6ヶ月前に一般肺炎は32.1%、誤嚥性肺炎は53.3%が何らかの介護サービスを受けていた。また、治療後は大半が自宅(外来・在宅)に直接戻っていた。なお、入院後1年間の累積死亡率は一般肺炎17.8%、誤嚥性肺炎31.3%であった。</p><p>【考察】1年間の累積死亡率の高さ及び併存症の種類とそれらの有病率の高さを考えると、肺炎はエンド・オブ・ライフステージにある要介護高齢者の療養生活の質に大きな影響があると考えられる。したがって、当該時期におけるQOLを維持するためにも、予防可能な肺炎については、そのための対策をケアマネジメントでしっかりと位置付けることが重要であると考えられた。</p>

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