海洋における炭酸系計測

  • 茅根 創
    東京大学理学系研究科地球惑星科学専攻
  • 山本 将史
    国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標準総合センター
  • 朝海 敏昭
    国立研究開発法人産業技術総合研究所計量標準総合センター

書誌事項

タイトル別名
  • Measurements of Carbonate System in the Ocean
  • カイヨウ ニ オケル タンサンケイ ケイソク

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抄録

<p>地球温暖化の将来と抑制策の鍵となる,海洋の炭酸系の計測可能な四つのパラメーターpH, pCO2, 全炭酸,全アルカリ度の計測技術の現状をまとめた.採水試料を実験室でバッチ計測する技術を,センサーによる現場観測,さらに自律したブイやフロートで自動計測する技術に改良して,点と線の観測から立体・経時観測することが求められる.実用的な計測における最良の精確さは,pH, pCO2, 全炭酸,全アルカリ度それぞれ,0.002 pH, 2〜5 μatm, 2〜4 μmol kg−1, 2〜3 μmol kg−1である.自動計測が実用化されているのはpHとpCO2だが,どちらも炭酸系の極微量成分で,同期して変化するため,これら二つから全炭酸と全アルカリ度を計算すると,それらの計算値の不確かさは,実測値の不確かさより大きくなる.精確に炭酸系を決定することができるpHと全アルカリ度の自動計測システムの開発が期待される.どのパラメーターも,試料試薬を添加したり,気体透過膜でCO2を液相に抽出したのちに,液相のpHを計測することによって求めることができるので,高圧の深海の海水でも安定的なpH計測技術の開発が鍵である.</p>

収録刊行物

  • 分析化学

    分析化学 70 (6), 301-308, 2021-06-05

    公益社団法人 日本分析化学会

被引用文献 (1)*注記

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参考文献 (39)*注記

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