SDT fatty ラットにおけるACE2 発現の検討

DOI
  • 宇野 絹子
    東京農業大学院 農学研究科 食品栄養学専攻
  • 美谷島 克宏
    東京農業大学 応用生物科学部 食品安全健康学科 東京農業大学院 応用生物科学研究科 食品安全健康学専攻
  • 石田 ゆりか
    東京農業大学 応用生物科学部 食品安全健康学科
  • 上地 哲平
    東京農業大学 応用生物科学部 食品安全健康学科
  • 山口 彩音
    東京農業大学院 応用生物科学研究科 食品安全健康学専攻
  • 万代 康平
    東京農業大学院 応用生物科学研究科 食品安全健康学専攻
  • 煙山 紀子
    東京農業大学 応用生物科学部 食品安全健康学科
  • 篠原 雅巳
    日本クレア株式会社 東京AD部
  • 笹瀬 智彦
    京都大学大学院 農学研究科 応用生物科学専攻 生体機構学分野
  • 太田 毅
    京都大学大学院 農学研究科 応用生物科学専攻 生体機構学分野
  • 中江 大
    東京農業大学 応用生物科学部 食品安全健康学科 東京農業大学院 応用生物科学研究科 食品安全健康学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Analysis of ACE2 expression in SDT fatty rats

抄録

<p>【背景及び目的】SARS-CoV-2は、世界的に感染が蔓延している新型コロナウイルス感染症の原因ウイルスである。高血圧、脂質異常症や肥満などの基礎疾患は重症化リスクとされ、糖尿病もその一つである。SARS-CoV-2の侵入を介するとされるACE2受容体は、肺胞上皮にも発現し、新型コロナウイルス感染症においてサイトカインストームを引き起こす重要な因子と考えられている。糖尿病患者において、当該感染症の重症化を誘発した要因の一つとして、糖尿病患者におけるACE2発現増加の関与が疑われている。本研究では、糖尿病モデル動物を用いて肺を中心にACE2の発現状況を調べ、重症化リスクモデルとしての可能性を検討した。</p><p>【材料及び方法】18週齢から63週齢まで維持飼育した肥満2型糖尿病モデル動物である雄性SDT fattyラットと、対照として雄性SDラットを使用し、普通食を与えた。さらに、Quick Fat (QF)食に2%コレステロール添加した餌を用いた、24週間給餌試験も実施した。解剖時に肺及び腎臓を採材し、病理組織学的解析及び分子生物学的解析を行った。</p><p>【結果及び考察】SDT fattyラットは、いずれの週齢でも明らかな糖尿病の病態を示した。同動物の肺では、肺胞マクロファージ浸潤、出血及びACE2陽性細胞の増加傾向が観察された。QF+2%コレステロール食給餌の一部のSDT fattyラットの肺においては、上述の変化がより顕著となった。以上の結果より、糖尿病状態の持続による病態悪化に伴い、肺におけるACE2発現が増加する傾向を示し、これは糖尿病患者において重症化リスクが高まる要因を表す変化である可能性が示された。これより、肥満2型糖尿病モデル動物であるSDT fattyラットは、新型コロナウイルス感染症の重症化リスクの評価においても有用な動物モデルとなり得る可能性が示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390851961199058816
  • NII論文ID
    130008073675
  • DOI
    10.14869/toxpt.48.1.0_p-171s
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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