若年者を対象とした母乳育児に関するアンケート調査

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • An Awareness Survey of Young Students on Breastfeeding

この論文をさがす

抄録

<p> 【目的】母乳育児を啓発,普及させるための一環として,母乳育児に関して育児未経験の若年者を対象としたアンケートによる意識調査を実施した.</p><p> 【対象と方法】中国地方4県(岡山県,広島県,山口県,島根県),14施設の中高生,大学生,看護学校生(大学を含む)2,971名を対象に,無記名による母乳育児に関するアンケート調査を行い,最終的に2,742名(女性:1,949名,男性:793名,年齢範囲:14〜24歳,平均値18.2歳,中央値18歳)について解析した.調査時期は,2018年7月から2019年3月までの9カ月間に行った.また今回は,年齢を18〜22歳に調整した看護系学生(1,138名)と非看護系学生(516名)についても比較検討した.統計解析はR統計解析ソフトを用いた.</p><p> 【結果】乳児の育児法として母乳か人工乳では一般的に良いと思うのは,母乳,人工乳,どちらでもよい,分からないと回答した割合(%)は,それぞれ59.5,1.4,28,11.1%であった.男女別では母乳と回答した割合は,男性46.9%,女性64.7%(p < 0.05)であったが,男女とも約3割はどちらでもよいという回答であった.また自身が(男性の場合はパートナーに)将来母乳育児をしたい(して欲しい)と答えたのは,女性81.8%,男性61.8%(p < 0.05)であった.母乳育児をしたいと思う理由で最も多かったのは,男女とも乳児によいと思うからであった.母乳育児をしたくない理由で最も多かったのは,女性では,母親が仕事をしながら母乳育児をするのは難しいと思うから,男性では,よく分からないがそのほうがよさそうだからであった.対象年齢を18〜22歳に限定した看護系と非看護系学生の比較では,母乳が良いと回答した割合はそれぞれ70.3%,64.6%(p < 0.05)であった.看護系学生で,人工乳が良いと回答した割合は年齢とともに減少するが,どちらでもよいと回答した割合は約25%で大きな変動はなかった.</p><p> 【結論】今回の調査では多くの若年者は,乳児には人工乳より母乳育児がよいと直感的に思っていることが推察されたが,どちらでもよいと思っている若年者も少なからず認められた.母乳育児を推進していくためには,科学的エビデンスを基盤とした母乳育児のメリットを啓発していくことは重要であるが,母乳育児を安心してできる職場環境の改善や母乳育児への不安を適切に軽減していくための支援者の育成が必要と考えられる.</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ