放射線曝露による細胞損傷とタウリン

書誌事項

タイトル別名
  • ホウシャセン バクロ ニ ヨル サイボウ ソンショウ ト タウリン

この論文をさがす

抄録

放射線曝露は放射線治療や自然災害による放射線事故によって引き起こされることがある。しかし、放射線防護剤は放射線曝露前に投与が必要であり原子力発電所事故後のヒトへの放射線被ばくには対応できない。したがって、放射線曝露後の投与で正常組織の損傷を低減することができる創薬の開発が急務である。放射線曝露はDNA 損傷を増加させ造血および胃腸システムへの損傷を引き起こす。そのなかでも腸陰窩上皮細胞は放射線曝露に敏感であり、放射線により誘導されるアポトーシスにより粘膜の損傷が引き起こされることがよく知られている。タウリンは、抗酸化作用、抗炎症作用、抗アポトーシス作用を含むいくつかの重要な生理学的機能を有する硫黄含有有機酸である。 このためタウリンは、放射線防護剤および放射線緩和剤として使用するための魅力的な候補であるようであるが、放射線誘発細胞損傷に対する緩和機構は、現時点ではまだ明らかではない。今回はタウリンの放射線誘発細胞損傷緩和機構に関する我々の研究結果の中から、タウリンの取り込みに関連するタウリントランスポーター発現、アポトーシスの鍵となる酸化DNA 損傷ならびに炎症性サイトカインの機能的変化について報告する。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ