森林被害跡地の健全化に向けた誘導技術の開発

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抄録

県内で大きな問題となっているマツ枯れやナラ枯れ被害の対策として,被害地の森林を健全に再生させるために天然更新や樹種転換事業が行われている。効果を検証するため,被害跡地を調査した結果,マツ枯れ被害地の大部分がナラ類や,サクラ類等の高木性広葉樹により更新していたが,表土がない場所では再度アカマツ林に推移し,樹種転換ができていなかった。また,ヒノキやカラマツを植栽した場合は,適正な手入れも行われ,確実な更新が図られていた。ナラ枯れ被害地は,被害前の林床植物によっては更新できない場合があり,ユキツバキが多いと更新が難しかった。カラマツの健全木を加害するカラマツヤツバキクイムシは,県内のほぼすべてで認められた。しかし,健全木への加害は林地残材量と標高によって異なり,標高1,000m以下では,少ない残材量でも健全木が枯死し,標高1,000m以上では残材量が多い場合に限られた。この結果から,残材は可能な限り搬出すべきと判断できた。

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