ツキノワグマにおける捕獲理由の違い及び忌避条件付けの有無と土地利用の関係

抄録

・有害捕獲で忌避条件付けされた個体と、錯誤捕獲で忌避条件付けされていない個体の放獣後の行動を比較した。・放獣個体の性別や放獣時期、放獣した年の堅果類の豊凶などによって、放獣後の行動が異なるかどうかについても、分析を行なった。・有害捕獲で忌避条件付けされた個体は、錯誤捕獲で忌避条件付けされていない個体よりも、人里周辺の利用頻度が高かった。・堅果類が豊作の年の9月と10月に捕獲された個体は、放獣から日数が経つにつれて人里周辺の利用頻度が高くなった。・堅果類が凶作の年の11月に捕獲された個体は、放獣から日数が経つにつれて人里周辺の利用頻度が低くなった。・これらの結果から、ツキノワグマの放獣後の行動は、忌避条件付け放獣の影響より捕獲までの履歴の影響の方が大きいことが示唆された。そのため、ツキノワグマの人里周辺の利用を防ぐためには、被害を継続的に発生させ、人里を利用するのに馴れてしまった個体を作らないことが重要な課題であると考えられた。

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