保存蚕品種における量的諸形質の品種特性(1) : 産卵数の品種特性ならびに他の数種量的形質との関係

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  • ホゾン カイコ ヒンシュ ニ オケル リョウテキ ショ ケイシツ ノ ヒンシュ

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蚕糸試験場で系統保存されている274種の地理的蚕品種について,1蛾当たり平均産卵数を調査して品種特性の解明をはかるとともに産卵数と他の量的形質との関係を検討し,次の結果を得た。1.産卵数は品種によって著しく相違し,最も産卵数の少ない品種(357粒)から最も多い品種(733粒)まで連続的に分布し,この頻度分布は正規型曲線となったので,産卵数はポリジーン系の遺伝形質であると推論した。また遺伝的変異も比較的大きいものと推察した。2.産卵数は地理的品種間で差異がみられ,中国種が最も多産卵性であり,日本種がこれにつぎ,以下欧州種,眠性種,熱帯種の順であった。3.本試験の結果に基づき多産卵性品種と少産卵性品種とを分別した。(第3表)。4.他の量的形質との相関関係を調べた結果,日本種,中国種および眠性種においては産卵数と繭重,繭層重,繭層歩合および蛹重との間で有意な相関が認められたが,日本種の場合繭層歩合との相関係数は幾分低かった。また,中国種では5齢経過日数との間にも高い相関が認められた。これに対して,欧州種および熱帯種では産卵数と有意な相関を示す形質はまったく認められなかった。5.産卵数(Y)の蛹重(X)に対する回帰式は,有意なものとして 日本種 Y1=360.1+141.8X1 中国種 Y2=301.6+191.2X2 眠性種 Y3=272.0+158.7X3が与えられた。6.直線回帰の95%信頼区間の範囲内にある品種が4割弱存在した。また,実測値が推定値の95%信頼区間より多い品種,実測値の方が少ない品種を区別したが,これらの品種における実測値と推定値との差は個々の品種が有している蛹重以外の遺伝的要因によって現われるものと考察した。

Journal

  • 蠶絲試驗場彙報

    蠶絲試驗場彙報 (118), 19-33, 1983-09

    つくば : 農林水産省蚕糸試験場

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