胃腺扁平上皮癌の病理組織学的研究

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タイトル別名
  • Histopathological Studies on Gastric Adenosquamouscarcinoma
  • イセン ヘンペイ ジョウヒ ガン ノ ビョウリ ソシキガクテキ ケンキュウ

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抄録

現在, 胃に発生する癌は腸上皮化生粘膜上皮に由来する管腔形成の明瞭な分化型腺癌と, 胃固有粘膜上皮に由来する管腔形成の不明瞭な未分化型腺癌とに大別されているが, ごく稀に腺扁平上皮癌をみることがあり, その発生頻度は全胃癌の0.1-0.4%である. 又その発生由来に関しては, (1) 既存の胃内扁平上皮巣の癌化, (2) 既存の腺癌の扁平上皮化生, (3) 多分化能のある未分化癌細胞の一形態として, 等が言われている. 著者は5例の剖検例を含む11例の胃腺扁平上皮癌について, 病理組織学的に精査し, その発生由来について次の所見を得た. 1) 分化型腺癌との共存例では扁平上皮癌は転移巣を含めて癌巣の深部に存在し, 粘膜内進展部には認めなかった. 組織学的には腺癌の形成する腺腔基底側に未分化癌細胞を認め, これを腺扁平上皮癌の発生由来とした. 2) 未分化型腺癌との共存例では扁平上皮癌は癌巣全体の中で局在する傾向にあり, 単独で胞巣を形成する症例もある. 組織学的には扁平上皮癌は小胞巣を成して島状に存在した. 周囲の未分化型腺癌は粘液産生能の弱い, より未分化な癌細胞からの移行を示し, 扁平上皮癌も同じ細胞からの移行を示した. したがって未分化型腺癌との共存例では, 癌細胞が発生当初から多方向性分化能を有しており, その結果腺扁平上皮癌が生ずるものと考えた.

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