水質汚濁が稲作に及ぼす影響 (1) : 汚濁物質濃度と稲作の関係

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  • スイシツ オダク ガ イナサク ニ オヨボス エイキョウ 1 オダク ブッシツ

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千葉県内5河川,59地点において農業用水水質の実態調査を行ない,この調査結果から汚濁物質濃度と稲作の関係を明らかにした。またさらにこのことから水稲栽培にとって適切な水質条件を検策し,栽培現場に即した新たな水質基準値の策定を試みた。調査対象河川は,生活排水など人間の生活活動に伴う排水により汚濁された河川であり,流域の水田土壌の土壌型は主に中粗粒強グライ土である。水稲(コシヒカリ)の生育・倒伏状況の観察調査,耕作者に対するききとり調査を行ない,この結果から汚濁程度の基準を設定し,各調査地点の汚濁程度を求めた。汚濁程度と水質調査より得た汚濁物質濃度の関係について検討したところ,全窒素,ケルダール窒素,アンモニア態窒素,COD,全リン濃度は汚濁程度が高まるとともに高濃度になる傾向にあり,農業用水の汚濁に対し指標性があった。硝酸態窒素と電気伝導度は汚濁程度との間に有意な関係または一定の傾向は認められず,指標性はなかった。指標性のある全窒素,ケルダール窒素,アンモニア態窒素,COD,全リンについて汚濁程度ごとに濃度分級を行ない,分級試案を作成した。農業用水水質の指標としてはケルダール窒素が最も適し,水稲の無被害濃度は同窒素3mg/l以下であると判断された。この結果は生活排水,し尿処理場処理水を汚濁源とし,千葉県内で標準的栽培を行なう水稲(コシヒカリ)に対する基準であると考えられる。

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