東京大学秩父演習林の国道140号線施設地域におけるツキノワグマ個体群の生息状況

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  • Black Bear Population at the Mountain Road Construction Area in Chichibu, Central Japan

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抄録

東京大学秩父演習林の中に開通した国道140号線の施設が、演習林とその周辺のツキノワグマ個体群に与える影響を評価するために、隣り合う滝川流域と入川流域において、ミツバチを誘引餌としたドラムカン製捕獲器でクマを捕獲した。 捕獲個体の体重や体調を記録した。大型個体には首輪式の発信機を装着して、行動圏を調べた。1991年から1999年の主に夏季にツキノワグマの58個体を136回捕獲し、23個体の成獣に34個の電波発信機を首輪で装着して行動圏を調べた。1993年から1995年における行動圏の調査結果から、調査地で繁殖していたと推定される6~8頭の雌の成獣は7~8平方キロに1頭ていどの密度で生息していると推定された。調査地内で秋の堅果がすべて凶作の1992年に、発信機を装着した雄の1頭が直線で約9キロ離れた塩山市一ノ瀬で射殺されたことが確認され、1993年には国道周辺の滝川地域で雄の成獣が1頭も捕獲されず、1994年には同地域で未成熟の雄が捕獲されただけだった。 国道140号線が施設されていたために滝川流域での雄の成獣の生息個体数の回復が遅れた可能性があると考えられた。演習林内にあるトンネルが生息地の分断効果を和らげる重要な機能を持つことを示唆した。

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