慢性下痢を示した1子牛における鞭虫寄生および野外例の調査と駆虫試験

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タイトル別名
  • <I>Trichuris</I> Infection in a Calf with Chronic Diarrhea and Survey and Anthelmintic Trial of Field Cases
  • マンセイ ゲリ オ シメシタ 1 コウシ ニ オケル ベンチュウ キセイ オヨ
  • Trichuris Infection in a Calf with Chronic Diarrhea and Survey and Anthelmintic Trial of Field Cases

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抄録

1988年4月, 1酪農家の151日齢の子牛1頭が下痢を主徴とする長期の消化器障害により廃用された.糞便検査の結果鞭虫卵が認められ, そのEPG値は1,000であった.剖検により, 盲腸から結腸にかけて牛鞭虫 (Trichuris sp.) の濃厚寄生 (盲腸5cm2当たり45匹) と寄生部位の粘膜肥厚や結節形成を認あた.病理組織学的には粘膜固有層の水腫性肥厚と粘膜下織内の虫体を認め, また一部に粘膜上皮の脱落や細胞浸潤もみられた.これらの所見により, この慢性下痢の主因は牛鞭虫寄生によるものと思われた.<BR>北九州家畜保健衛生所管内における子牛の鞭虫の寄生状況を調べるため, 21戸79頭について蔗糖液遠沈浮遊法で糞便検査を行った.その結果, 8戸22頭の子牛に鞭虫卵を認めた.糞便1gの虫卵数は1-1, 647の範囲にあり, 虫卵数の多い3頭 (1, 647;577;196) が下痢や軟便を示していた.<BR>虫卵陽性牛5頭にイベルメクチンを投与した結果, 虫卵数の著しい減少または陰転がみられ高い駆虫効果が認められた.ネグホン投与牛でも虫卵数は減少したが, 投薬した2頭中1頭では陰転しなかった8病状を示した3頭は全て投薬後回復した.

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