石灰乳胆汁の臨床

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タイトル別名
  • LIMY BILE
  • セッカイ ニュウタンジュウ ノ リンショウ ジケン 7 ショウレイ ト ホンポ
  • REPORT OF SEVEN CASES AND CONSIDERATION THROUGH JAPANESE REFERENCES
  • 自験7症例と本邦報告例の検討

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抄録

我々は石灰乳胆汁の7症例(38歳女, 47歳女, 34歳女, 65歳女, 51歳男, 43歳男, 24歳女)を経験したので,これらの臨床像・石灰乳胆汁の形態と成分分析を報告するとともに,昭和52年12月末日迄に,重複症例を除外して集計し得た本邦石灰乳胆汁症例188例について考察を加えた.発生頻度は比較的稀で,胆石症手術に対する割合は約1~3%である.男女比は1:2.7と女性に多く, 30歳台に最も多くみられる.症状は腹痛を主とし,胆石症のそれとほぼ一致するが,黄疸・発熱をみるものは少ない.また,無症状に経過する例もかなり多くあるものと思われる.診断上重要なのはX線所見であり,腹部単純撮影にて胆嚢部に一致して陽性像が得られ,体位変換により形・位置が変化する例も多く見られ,また,結石の頚部あるいは胆嚢管への嵌頓が認められることがほとんどである.十二指腸液検査ではB胆汁の欠除することが多いが,検血・肝機能・血清電解質に異常を認めることは少ない.治療は特殊な症例を除き,胆嚢摘出術が行われている.石灰乳胆汁の性状は,自験例では,乳状・泥状・粥状・生ゴム様・白墨様・粘土状と様々であつたが,本邦集計例では,糊状及び粘性ゴム状物質等の中等度硬度を示すものが多かつた.また,この成分分析では,天然炭酸カルシウムのAragonite 型結晶と同様のX線回折パターンを示すものが大多数を占めていた.摘出標本については,本症の成因の必要条件と考えられている慢性胆嚢炎の像と結石による胆汁流出路の閉塞が認められた.本症の成因はまだ明らかではないが,胆汁流出路の閉塞,胆嚢の慢性炎症,胆嚢内の pH の変化が必要であると考える.

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