術後急性胆嚢炎の1治験例と本邦報告80例の臨床的検討

書誌事項

タイトル別名
  • A CASE OF POSTOPERATIVE ACUTE CHOLECYSTITIS: CLINICAL STUDY OF 80 CASES REPORTED IN JAPAN
  • ジュツゴ キュウセイ タンノウエン ノ 1 チケンレイ ト ホンポウ ホウコク

この論文をさがす

抄録

非胆道系手術後や外傷後に起る急性胆嚢炎は,最近本邦でも報告例が増加しているが,その臨床像及び病態についてはなお不明な点が多い.我々はS状結腸癌手術後に無石性急性胆嚢炎を経験したので,これを含め本邦報告80例について比較検討を加えた.<br>80例の臨床的検討によると, (1) 胃手術後発生50例(62.5%),食道手術後発生17例(21.3%)で約84%が胃食道手術後に発生している.その他外傷や下腹部手術後発生13例(16.2%)であり,又これらのほとんどが癌等悪性腫瘍であった. (2) 60~69歳台に多く,死亡率は全体で30.3%, 50歳以下では死亡例なく, 50~69歳台33.3%, 70歳以上50%と高齢者ほど死亡率は高い. (3) 手術後食飼再開直後~1週間以内にほとんど発症する. (4) 術後急性胆嚢炎正診率は50%であり,診断が困難である. (5) 胆嚢は無石性が80%以上で,全て壊疽性である. (6) 本症の原因として,細菌感染,血行障害,胆汁うっ滞が考えられ,特に下腹部手術後では精神不安等による胆汁うっ滞が考えられる.<br>以上にかんがみて,高齢者癌外科においては本症の合併に一層の注意を払いつつ,術後管理を行うべきである.

収録刊行物

被引用文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ