術前に胆嚢癌を思わせたConfluence Stoneの1例

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タイトル別名
  • A CASE REPORT OF CONFLUENCE STONE
  • ジュツゼン ニ タンノウガン オ オモワセタ Confluence Stone

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抄録

胆石症は日常の診察に際し,しばしば遭遇する疾患であるが,その中で特異な病態を呈すものにMirizzi syndrome, Biliobiliary fistula, Confluence stoneなどがあるが,最近我々はConfluence stoneの1例を経験したので報告する.<br> 症例は61歳,女性で,黄疸を主訴として当院内科を受診し, PTC, U. S, ERCP等にて総胆管の三管合流部と思われる部分より左右肝管合流部にかけて,長さ約2cmにわたる右側の著明な陰影欠損,一部壁の不整等を認め, Mirizzi syndrome, Biliobiliary fistula, Conflunce stone等も否定できなかったが,胆道系の悪性腫瘍が強く疑われ,当科紹介となった.<br> 手術所見は,胆嚢壁は炎症性に肥厚して周囲との癒着が高度であったが,外観上悪性腫瘍を思わせる所見はなかった.胆嚢内に2個の結石を触知し,胆嚢粘膜抜去術を行うべく胆嚢前壁に切開を加えたところ, 2個の結石のうち総胆管に近い方の結石は胆嚢より直接総胆管へ圧出されていたため,術中にConfluence stoneと診断した.次いで胆嚢前壁を切除し,後壁の一部で総胆管欠損部を被覆するいわゆるPatch graft法を行ない, T-tubeをこれより末梢側に挿入して手術を終了した.<br> 術後の組織検査でも胆嚢粘膜に悪性所見を認めず, T-tube造影でも狭窄,縫合不全等は認めず,順調に経過した.<br> Mirizzi syndrome, Biliobiliary fistula及びConfluence stoneの三者の術前の鑑別診断,あるいは胆道系の悪性腫瘍との区別が必要となるが,術前にこれらの鑑別を行なうことは容易ではなく, PTC, ERCPをもってしても判別し難いことが多いが,それらのうちでもU. Sが質的診断にも最も有用であると思われた.

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