「保険社会」と「リスク社会」の間に : 社会学におけるリスク研究

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タイトル別名
  • Between Assurance Society and Risk Society. : Sociological Risk Studies
  • ホケン シャカイ ト リスク シャカイ ノ アイダニ シャカイガク ニオケル リスク ケンキュウ
  • ホケン シャカイ ト リスク シャカイ ノ アイダ ニ シャカイガク ニ オケ

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抄録

社会学においてリスクの概念はチェルノブイリのカタストロフの後で発達した。ウルリッヒ・ベックはリスク社会の概念を提示した。ベックによれば、リスクは、単純な近代における財の分配に代わって一般化しつつある。ニクラス・ルーマンはリスクと危険の区別を導入し、リスク概念を社会学的に洗練化している。本論文の目的はリスク社会の理論と保険社会の概念の関係を明らかにすることである。フランソワ・エヴァルドは保険社会の概念を用いて福祉国家の歴史的発展を分析した。エヴァルドによれば、近代を特徴づける保険化の過程は多様なリスクをカバーしてきたのである。しかし現代社会は、近代化の過程そのものが解放した新たなリスクの特徴のために、保険可能性の限界に直面している。つまり、保険社会とリスク社会の間には保険可能性の限界がある。予防の原理とリスクのコントロールに基づいていた保険社会の時代の後で、新たな原理、すなわち「警戒」原則がリスク社会において前面に現れている。

収録刊行物

  • 年報人間科学

    年報人間科学 19 147-163, 1998

    大阪大学人間科学部社会学・人間学・人類学研究室

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