国際穀物需給の長期予測と耕地および灌漑地の利用可能性―資源制約パイロットモデルの開発と利用―

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タイトル別名
  • Long-term Grain Market Projection with Considerations on the Availability of Arable and Irrigation Land : Development and Use of Resource Constraint Pilot Model
  • コクサイ コクモツ ジュキュウ ノ チョウキ ヨソク ト コウチ オヨビ カンガイチ ノ リヨウ カノウセイ シゲン セイヤク パイロット モデル ノ カイハツ ト リヨウ

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抄録

地球上の有限な資源のもとで,世界の人口が増加し,人類の食料需要が拡大を続けていくと,将来の食料不足が憂慮される。こうした陰鬱な来来観は,マルサス以来の長い歴史をもち,今日でも形を変えながら,広く世界に流布している。本論文では,農業生産に必要な資源のなかでも,最も重要なものと考えられる耕地と灌漑地を考慮した資源制約パイロットモデルを開発・利用し,これら二つの資源の存在条件が長期の国際穀物需給に与える影響を検討する。 資源制約パイロットモデルは穀物の需給モデルにおける資源制約問題を,配分可能固定生産要素をもつ多財生産者の最適化行動として定式化した点に特徴がある。このモデルを利用したシナリオ分析によると,2030年までの国際穀物価格は,現状から見て,ほぼ横ばいで推移すると予測される。また,21世紀前半に世界の各地で生じると予測される人口増加率の低下や人口減少の影響をうけて,2000年から2030年までの予測期間中の一定時点以降は,国際穀物価格は低下トレントに転じると展望される。 こうした知見は,将来における極端な食料不足を訴える議論に対する反論となっている。さらには,わが国の食料政策を考えるにあたっては,国際穀物需給の緩和基調のもとで,穀物輸入の拡大を求める海外からの圧力が,今後一層強まることを前提とするべきであるという含意を導いている。

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