新築・改築小学校における室内空気汚染と児童の健康影響実態調査

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タイトル別名
  • INDOOR AIR POLLUTION IN NEWLY BUILT OR RENOVATED ELEMENTARY SCHOOLS AND ITS EFFECTS ON HEALTH IN CHILDREN
  • シンチク カイチク ショウガッコウ ニ オケル シツナイ クウキ オセン ト ジドウ ノ ケンコウ エイキョウ ジッタイ チョウサ

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抄録

目的 新築または改築された小学校において,室内空気汚染化学物質の濃度測定と工事前後の児童の自覚症状調査を行い,学校教室内の空気汚染の実態とその健康影響を明らかにし,対策の立案に資する。<br/>方法 大阪府内 4 小学校の2001年夏期に新築された特別教室(コンピュータ教室等,普通教室以外の教室)と改築された普通教室において,増改築工事直後,1 か月後,3 か月後,10か月後,22か月後に,ホルムアルデヒドおよび揮発性有機化合物(VOC)3 物質(トルエン,キシレン,エチルベンゼン)の室内空気中濃度を吸引法と拡散法とで測定した。また,改築された普通教室を使用していた児童に対し,改築前と改築後の教室を使用してから約 1 か月経過した時点とに,シックハウス症候群様の自覚症状のアンケート調査を行った。<br/>結果 新築されたコンピュータ教室では,ホルムアルデヒドが工事直後よりもコンピュータや備品が搬入された 1 か月後の方に高く検出された。また,新築から10か月後と22か月後の夏期にも指針値を超えるホルムアルデヒドが検出された。改築された普通教室では,ホルムアルデヒドは未改築教室と同レベルであったが,VOC 類は工事直後に高く検出され,トルエンは指針値を超えた教室が多かった。鉄筋コンクリート造り 4 階建て校舎では 1・2 階より 3・4 階の方が,3 階建て校舎では 2 階より 3 階の教室の方が,室内空気汚染が高い傾向にあった。改築された普通教室の児童の自覚症状調査では,改築前に比べ改築後にシックハウス様症状の有訴率が高まる傾向がみられた。しかし,症状を一つ以上訴えた有症者の実数はほとんど変化しておらず,有症者一人当たりの症状数が高学年男子では有意に増加していた。<br/>結論 新築または改築された小学校において,一部の教室で室内濃度指針値を超える化学物質が検出された。工事後一定期間の開放換気や,コンピュータ教室など使用頻度の少ない特別教室の積極的な換気対策等が必要と考えられた。

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