<論説>平安時代宮廷社会の〈土器〉

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タイトル別名
  • <Articles>The Pottery used at the Court during the Heian Period
  • 平安時代宮廷社会の<土器>
  • ヘイアン ジダイ キュウテイ シャカイ ノ ドキ

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抄録

平安時代における宮廷社会の饗宴儀礼は、勧盃者の飲酒が伴い土器を用いる旬儀型と、勧盃者が飲酒せず朱器などを使用する節会型に大別できる。日常的な儀礼形態である旬儀型では様器の盃から土器への変更が頻繁になされたが、様器は土器の延長線上に位置する器とみるのがよく、使用の背景には饗宴主催者の装飾の意図が窺える。一方、様器から改められる土器の多くは春日土器であり、それは黒色土器に相当すると推測され、土器を必要とする社会構造の起点を春日土器の登場に求めることができる。このような点からも、八世紀後葉から九世紀前葉にかけての<土器>の変容は、律令官僚制の展開に関連づけるのが適当で、律令官人の常食制の崩壊が須恵器生産の解体に影響し、公卿制の成立が土器を用いる旬儀型の饗宴儀礼の活況を引き起こしたものと考える。

収録刊行物

  • 史林

    史林 89 (6), 789-816, 2006-11-01

    史学研究会 (京都大学文学部内)

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