有害渦鞭毛藻Heterocapsa circularisquamaのバッチ培養法による増殖速度の簡易測定と海域での適用

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  • ユウガイ ウズベンモウソウ Heterocapsa circularisquama ノ バッチ バイヨウホウ ニ ヨル ゾウショク ソクド ノ カンイ ソクテイ ト カイイキ デ ノ テキヨウ

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抄録

短期的な赤潮の消長予測への利用を目的として、海域で採取したHeterocapsa circularisquama含む海水試料をバッチ培養し、その間の細胞密度の変化量を用いて増殖速度を推定する手法を確立するため、細胞密度の測定精度、培養方法および培養瓶の必要本数について検討した。直接計数法による細胞密度の測定では、1試料あたりの測定回数を3回、測定1回あたりの細胞カウント数を70cells以上とした条件において、変動係数(CV)が安定する傾向が認められた。培養瓶を現場海域の筏から垂下する現場培養法と人工気象器内で培養する室内培養法の2つの手法で測定した増殖速度は、いずれも良く似た傾向で推移し、簡便な室内培養法でも増殖速度の推移を把握可能と推察された。培養瓶5本における増殖速度の標準偏差(SD)を基にして統計的に培養瓶の必要本数を見積もった結果、0.2 divisions/day程度の増殖速度の変化を識別するために必要な培養瓶の本数は1〜 2本と考えられた。英虞湾において2004年、2005年および2008年のH.circularisquama赤潮発生時および2006年のKarenia mikimotoi赤潮発生時にモニタリングした現場個体群の増殖速度は、赤潮発達期には高く、終息期には低くなる傾向が認められた。このことから、新しく確立した簡便な手法を用いてモニタリングした現場個体群の増殖速度は、短期的な赤潮消長予測の指標として利用できる可能性が示唆された。

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