アジア系コククジラの記録―その分布と回遊―

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タイトル別名
  • Records of western population of gray whale Eschrichtius robustus:its distribution and migration
  • アジアケイ コククジラ ノ キロク ソノ ブンプ ト カイユウ

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抄録

<p>コククジラのアジア系個体群の過去から現在に至る生息状況を知るため、文献を調査した。確認された生息域は、北はベーリング海・オホーツク海北部から、南は南シナ海の中国南部沿岸までの広い範囲に及んだ。確認地点は、各海域の沿岸が大部分であったが、北太平洋の水深4000~5000mの海域からも記録があった。摂餌海域は、本来はオホーツク海北部であったが、現在はサハリン北東部沿岸に狭まっていると考えられる。明治期の文献によれば、北海道周辺も摂餌海域であったと考えられる。回遊ルートは、従来から、日本海の大陸側、日本列島太平洋側のルートが知られていた。前者のルートは、朝鮮半島では1930年代以降捕獲が少数になった後も、1980年代まで記録があり、少数が回遊ルートとして利用していたと考えられるが、1989年を最後に記録がなく、近年はほとんど利用されていないと思われる。後者のルートは、2000年以降も目撃、混獲、ストランディングが見られることから、現在も回遊ルートとして利用されていると考えられる。この他に、日本海の日本列島側の回遊ルートの存在が明治期の文献から示唆されていたが、1950年以降、混獲やストランディングが確認されたことから、回遊ルートとして時々利用されていると思われる。しかしながら、本回遊ルートは、記録が少なく、太平洋側のルートに比べ利用は少ないこと思われる。繁殖海域は朝鮮半島南部と中国沿岸の間と推測されるが、記録が少なく、さらなる調査が必要である。</p>

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