新潟県・山形県県境金丸ウラン鉱床地区における中新統釜杭層ウラン濃集層に含まれる有機物の特徴

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タイトル別名
  • Characteristics of organic matter in uranium-rich coaly shales from Miocene sequence at Kanamaru, Japan
  • ニイガタケン ヤマガタケン ケンザカイ カナマル ウラン コウショウ チク ニ オケル チュウ シントウカマ グイソウ ウラン ノウシュウソウ ニ フクマレル ユウキブツ ノ トクチョウ

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抄録

新潟県・山形県県境金丸ウラン鉱床地区において掘削採取された中新統釜杭層コア試料についてケロジェンとバイオマーカーの分析を行い,ウラン濃集層(U=25-100 ppm; Th=23-42 ppm) に含まれる有機物の特徴を明らかにした.<br>  ビジュアルケロジェン分析により,有機炭素量の高い試料では,木質ケロジェンが多く,有機炭素量が低い試料では,無定型ケロジェンが多いことが示された.熱分解ガスクロマトグラフ質量分析により,熱分解物は主にアルキル芳香族炭化水素(アルキルベンゼン,アルキルインデン,アルキルナフタレンなど)とn- アルカンからなり,鎖状イソプレノイドアルカン,n- アルケン,n- 脂肪酸を微量伴うことが示された.これらの多くは,陸上高等植物に由来するIII型ケロジェンに特徴的な化合物である.これらの結果から,本分析試料中の無定型ケロジェンは,木質ケロジェンと同様に,陸上高等植物起源であり,強く酸化分解を被り,材の形状を失い,無定型化したものであると考えられる.<br>  炭質頁岩中のマツ花粉の色度(TAI)は約2.6であった.またロックエバル分析によるTmax値は441 °C-444 °Cであった.これらから,試料の熟成度が初期カタジェネシス期段階に達したことが示された.また,熱分解生成物中に,ホパンの異性体のうち,続成作用により生成する異性体が多いことからも,カタジェネシス期段階の熟成度が指示される.<br>  掘削井において,ウラン濃度とウラン/トリウム比のピークは岩相境界に対応しているが,有機炭素量ピークよりも2メートル浅い.この有機炭素ピークとウラン濃度ピークが一致しないことから,有機物がウラン濃集には関与していないことが示唆される.地下水位が高かった時代に,岩相境界において酸化還元電位の勾配が生じ,そこでウランが濃縮した可能性が考えられる.

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