担癌動物の肝トリプトファンーペルオキシダーゼについて

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タイトル別名
  • STUDIES ON TRYPTOPHAN PEROXIDASE IN THE LIVER OF TUMOR-BEARING ANIMALS
  • タンガン ドウブツ ノ カン トリプトファン-ペルオキシダーゼ ニ ツイテ

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抄録

Ehrlich 腹水癌を移植したdd系マウスについて肝のトリプトファンペルオキシダーゼーオキシダーゼの活性度ならびにその適応的活性の増加を測定した。同時に白鼠のDAB肝癌生成過程における肝組織の同酵素の変化をも追求した。<br>担癌マウスの活性は対称動物に比し明らかに増加の傾向が見られたが同時に測定したカタラーゼの活性度は著減していた。<br>一方基質であるトリプトファンの注射による適応後の活性は担癌動物では正常のそれよりも低い値を示した。また基質注射後の適応的活性の増加を時間的に見ると担癌動物では注射後約1時間で最高値を示したが対称の正常動物では約5時間後に最高値に達した。すなわち担癌動物では適応が正常より明らかに短時間内に起っていた。この担癌動物における適応時間の短縮はヒスチヂン注射の場合にも見られた。<br>この酵素活性の適応的増加は新酵素蛋白の合成によることが証明されているのでこの結果は癌の成長にともない肝酵素蛋白の動きが早くなっていることを暗示しているように思われる。<br>一方DABによる白鼠肝癌生成実験の過程における病変肝の酵素活性は硬変肝では正常肝の2/3であり肝癌では1/6を示すに過ぎなかった。しかし硬変肝でも基質およびヒスチヂンに対する適応力は正常肝と同程度に持っていた。さらに肝癌でも基質あるいはヒスチヂンの注入によってその活性が数倍の増加を示した。

収録刊行物

  • 癌 49 (2), 125-136, 1958

    日本癌学会

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