東北海区における極前線帯とその変動について(2)

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  • ヒガシホッカイク ニ オケル ゴク ゼンセンタイ ト ソノ ヘンドウ ニ ツイテ 2

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抄録

本稿においては、最高水温帯附近の環流についての力学的考察、及びBTの記録に現れる水温逆転層についての考察を行う暇がなかった。これらは何れも別の機会に論じたい。次に以上の考察を要約して述べる。(1)黒潮前線・最高水温帯附近の海況を、1950年から1954年夏に至る、代表的観測結果に基いてsynopticに考察した。また1952年6月における主要漁場の分布と海洋条件との対比を試みた[第II節第(7)項の要約(p.23-24)を参照]。(2)局所的自然座標を導入して、定常状態における一般的な海流の方程式を求め、平行solenoid場の法則、Bernoulliの定理、絶対渦度不変の定理などの成立条件について考察した。また前線強流帯においてこれら諸定理が成立する訳を考えてみた。(3)前線強流帯においては近似的に平行solenoid場が成立するという観測事実に基いて、一般場を基本場である平行solenoid場と、それよりの偏倚場に分離し、前線強流帯横断面内の環流は偏倚場流として平行solenoid場より導き得ることを示した。実際の計算は黒潮前線に沿うjetの中軸部表層のみについて実施した。この結果は定常的なjet中軸の直ぐ左手に収斂下降流直ぐ右手に発散上昇流、jetの中軸では右手から左手に向かう偏倚流、jetの中軸を離れた所ではこの逆向きの偏倚流があることを示し、実測値とも大体良く一致する。

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