バリカンより菌を分離し確定診断に至ったTrichophyton tonsurans感染症の1例

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タイトル別名
  • Trichophyton tonsurans Infection Diagnosed with Culture from a Hair Clipper: A Case Report
  • 症例 バリカンより菌を分離し確定診断に至ったTrichophyton tonsurans感染症の1例
  • ショウレイ バリカン ヨリ キン オ ブンリ シ カクテイ シンダン ニ イタッタ Trichophyton tonsurans カンセンショウ ノ 1レイ

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抄録

14歳,男子,柔道部員。前頭,右側頭部の痒みがあり副腎皮質ホルモン外用剤で約20日間治療したが,紅斑と痒みが強くなり,白癬の診断で塩酸テルビナフィンの内服が行われた。1週間後同部の脱毛,発赤腫脹が著明となり,さらにイトラコナゾールの内服と抗真菌剤外用で追加治療するも発赤腫脹と脱毛巣の拡大を認め当院を受診した。右側頭部に発赤腫脹と膿疱を伴う径3cmの脱毛巣と脱毛巣内には数個の黒点がみられた。黒点のKOH鏡検所見では毛内性菌寄生の像がみられたが,サブローブドウ糖寒天培地への培養は陰性であった。しかし患者が前医受診まで使用していた患者専用のバリカンがあり,歯ブラシによるsampling法でTrichophyton tonsurans を分離し原因菌と判断した。見逃されていた頭部白癬に対し前医でステロイド剤とさらに抗真菌剤の外用が行われ頭部白癬の増悪をきたしたが,経過を詳細に検討すれば,塩酸テルビナフィン内服投与も頭部白癬の増悪を助長したことは否定できない。

収録刊行物

  • 西日本皮膚科

    西日本皮膚科 73 (2), 166-169, 2011

    日本皮膚科学会西部支部

参考文献 (11)*注記

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