アマニ油脂肪酸カルシウムを用いた肉用牛肥育生産における最適飼料設計とそのLCA評価

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  • Life cycle assessment of beef-fattening production systems using least cost rations with different amounts of calcium soaps of linseed oil fatty acids
  • アマニユ シボウサン カルシウム オ モチイタ ニクヨウギュウ ヒイク セイサン ニ オケル サイテキ シリョウ セッケイ ト ソノ LCA ヒョウカ

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抄録

本研究では、メタン低減効果が期待されているアマニ油脂肪酸カルシウム(Ca)を利用した肉用牛肥育生産における環境負荷低減効果とその経済性を評価することを目的として、線形計画法およびライフサイクルアセスメント(LCA)の手法を用いて、アマニ油脂肪酸Ca の給与レベルに応じた環境影響および飼料コストの変化を検討した。一般的な肥育飼料にアマニ油脂肪酸Ca を飼料中乾物重量に対し0.0、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5 および3.0%添加した計7 種類の想定飼料それぞれに対して、線形計画法による最適化を行った。肥育後期(19~29 か月齢)において上記7 種類の飼料を用いた生産システムをそれぞれ想定し、飼料生産、飼料運搬、飼養管理、家畜および堆肥化における化石燃料の使用やふん尿からの揮散により発生する環境負荷物質量およびエネルギー消費量を計算した。算出された環境負荷物質量に、物質ごとの環境影響の重み付けを行うことで、地球温暖化、酸性化、富栄養化およびエネルギー消費の各環境影響項目に与える影響の大きさを推定し、飼料費との関係について検討した。機能単位は肥育後期における黒毛和種去勢肥育牛1 頭とした。最適飼料設計の結果、アマニ油脂肪酸Ca の添加レベルの上昇に伴い、濃厚飼料の量が低減する傾向が見られ、3.0%添加時においてはアマニ油脂肪酸Ca の1.6 倍量の濃厚飼料を節減できた。飼料費は添加レベルの上昇に伴い増加したが、地球温暖化、酸性化および富栄養化に与える影響は低減する傾向が見られた。特に、地球温暖化に与える影響は、3.0%添加時において、無添加時に対して約8.9%の低減が見られた。以上の結果から、アマニ油脂肪酸Ca の添加レベルを上げることにより、飼料費は増加するが、メタン低減効果および濃厚飼料の節減効果によって地球温暖化、酸性化および富栄養化に与える影響を低減させることが示された。

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