2型糖尿病罹患に対する飲酒習慣,有酸素能力の相互作用に関するコホート研究

書誌事項

タイトル別名
  • Interaction of drinking habits and cardiorespiratory fitness on the incidence of type 2 diabetes: a cohort study of Japanese men
  • 2ガタ トウニョウビョウリカン ニ タイスル インシュ シュウカン ユウサンソ ノウリョク ノ ソウゴ サヨウ ニ カンスル コホート ケンキュウ

この論文をさがす

抄録

<p>目的:これまでに多量飲酒や低い有酸素能力が2型糖尿病罹患のリスクファクターであることが報告されている。しかしながら,2型糖尿病罹患に及ぼす飲酒習慣と有酸素能力の相互作用を調査した研究は見当たらない。そこで本研究は,日本人労働者を対象にして飲酒習慣と有酸素能力が2型糖尿病罹患とどのような関係にあるか調査した。</p><p>方法:本研究の対象者は,1985年度に最大下運動負荷テストおよび定期健康診断を受診した糖尿病に罹患していない男性4,745人(年齢:20~40歳)であった。自転車エルゴメータを用いた最大下運動負荷テストによって最大酸素摂取量を推定し,対象者を有酸素能力で3分位(低FIT群,中FIT群,高FIT群)に分類した。また,自己記入式質問票を用いて飲酒習慣を確認し,対象者を「非日常飲酒群(非飲酒者を含む)」,「日常飲酒群(アルコール45g/日以下)」,「多量飲酒群(46g/日以上)」に分類した。その後,対象者を14年間追跡して2型糖尿病罹患の有無を観察した。追跡終了後,比例ハザードモデルを使用して2型糖尿病罹患の相対危険度および95%信頼区間を求めた。</p><p>結果:追跡期間中,280人が2型糖尿病に罹患した。交絡因子として年齢,BMI,収縮期血圧,糖尿病家族歴,喫煙習慣を調整し,低FIT群で多量飲酒群(低FIT&多量飲酒群)を基準にして他の群の相対危険度および95%信頼区間を求めた。その結果,各群の相対危険度は,いずれの群も低い相対危険度を示していた。そして,「高FIT&多量飲酒群」は0.82(0.30-2.27),「低FIT&非日常飲酒群」は0.50(0.26-0.94),「高FIT&非日常飲酒群」は0.16(0.05-0.50)という相対危険度を示した。</p><p>結論:本研究は,有酸素能力と飲酒習慣の組み合わせは2型糖尿病罹患の強い予測因子であることを示していた。そして,高い有酸素能力を維持し,日常的な飲酒習慣をもたない男性労働者は2型糖尿病罹患のリスクが他の群と比較して著しく低く,飲酒習慣と有酸素運動能力の相互作用が示唆された。2型糖尿病を予防するためには,日常的な飲酒を避けるとともに,有酸素能力を維持・向上させることが重要であると考えられる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ