報酬探索の神経機構と快情動

  • 廣中 直行
    科学技術振興機構ERATO 下條潜在脳機能プロジェ クト NTT コミュニケーション科学基礎研究所
  • 高野 裕治
    科学技術振興機構ERATO 下條潜在脳機能プロジェ クト NTT コミュニケーション科学基礎研究所
  • 髙橋 伸彰
    科学技術振興機構ERATO 下條潜在脳機能プロジェ クト NTT コミュニケーション科学基礎研究所
  • 田中 智子
    科学技術振興機構ERATO 下條潜在脳機能プロジェ クト 国立精神・神経医療研究センター
  • 板坂 典郎
    科学技術振興機構ERATO 下條潜在脳機能プロジェ クト 専修大学大学院
  • 小泉 美和子
    科学技術振興機構ERATO 下條潜在脳機能プロジェ クト お茶の水女子大学大学院

書誌事項

タイトル別名
  • Neural mechanisms of reward seeking and “pleasant” emotion
  • ホウシュウ タンサク ノ シンケイ キコウ ト カイ ジョウドウ

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抄録

ヒト以外の動物を用いて快情動を研究することは難しく、客観的に計測可能な行動を対象にする必要がある。このような観点から、我々は報酬探索の神経機構について検討した。一連の実験によって、1)内因性のノシセプチンが高脂肪食に対する選好を調節していること、2)海馬のシータ波が報酬の予期に関係しているらしいこと、3)報酬記憶の形成に伴って海馬のドパミン受容体が増加すること、4)扁桃体のドパミン受容体が選好行動の発現に重要な役割を果たしていることなどが示された。これらの結果は報酬探索における学習や記憶の重要性を示すものであった。報酬探索は生存に必須な生理機能であるが、嗜癖や依存といった病態につながるおそれもある。今後の研究では、正常な報酬探索とその病態を統合的にとらえる視点が必要である。そのような研究の中から快情動の構造と機能について新たな洞察が得られることが期待される。

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