系統選抜による宮崎県在来野菜「糸巻き大根」の再生および新品種育成へのアプローチ

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  • ケイトウ センバツ ニ ヨル ミヤザキケン ザイライ ヤサイ イトマキ ダイコン ノ サイセイ オヨビ シン ヒンシュ イクセイ エ ノ アプローチ

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抄録

「糸巻き大根」は宮崎県在来野菜として主に宮崎県西米良村一帯で栽培・消費され,また自然交配によって繁殖されている。「糸巻き大根」には,甘味が強い,耐寒性が強いなどの優れた特徴を持つ。しかしながら,長年の自然交配での繁殖により,品種というよりむしろ変異体集団として栽培されており,商品として市場に出荷できる状況ではないのが現状である。そこで,本研究では宮崎県在来野菜の再生と宮崎の経済の振興を目的として,「糸巻き大根」を取り上げ,日増しに増える核家族や食品加工のニーズに応えるべく系統選抜手法を用いて新しい品種の育成を試みた。まず,HEGS法を用いて「糸巻き大根」と西米良村周辺と近隣県の在来品種との差異を解析した。その結果,「糸巻き大根」は近縁とされてきた在来品種とは別グループであることが判明した。また,供試した全ての在来野菜品種や系統の系統図もHEGSパターンに基づいて作成した。約4年間の系統選抜実験を通して,最初に供試した「糸巻き大根」変異体集団は3グループ13系統に大別され,系統規格への適合率は最大で46.2%となった。3グループそれぞれのO系,T系,L系については諸形質,市場性が有望な系統として品種登録に向けて系統選抜実験を継続中である。系統選抜された系統について,糖度測定を行った結果,平均値はRR,MR系が4.6~6.9(最大値7.2)となり,対照区とした耐病総太りの4.5より高いことが判明した。

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